都会から地方への移住を考える際に、誰もが気になるのは「生活費が本当に安くなるのか」という点です。
家賃や食費が下がる一方で、車の維持費や光熱費が増える可能性もあるため、単純に比較するのは難しいのが実情といえます。
そこで今回は、田舎暮らしの支出内訳を整理し、生活費が安くなるのかをご紹介します。
家賃や住宅費は大幅に節約できる
田舎暮らしの大きな魅力は、家賃が大幅に下がる点です。
総務省の調査によると、東京都の家賃相場が約8万円を超えるのに対し、青森県や島根県では約3万円台に収まっており、半額以下で暮らせる地域も存在します。実際に東京から高知に移住した家庭では、10万円だった家賃が3万円台に下がり、年間40万円以上の節約に成功しています。
また、空き家バンクを活用すれば、1万円以下で住める物件に出会えるケースもあります。
さらに、長期的な居住を条件に、物件譲渡を受けられる事例も報告されています。
ただし、築年数が古い住宅ではリフォームや修繕が必要になる場合も多く、水回り設備などは事前に確認しておくことが欠かせません。
交通費や光熱費はむしろ増える可能性も
一方で、田舎暮らしには見落とせない出費もあります。その一つが交通費です。地方では車が生活必需品となり、ガソリン代や車検、保険料を含めると年間約37万円ほどの維持費がかかります。
実際の通勤例では、往復60キロで月1万円以上のガソリン代が必要になることもあります。加えて、地方は競争が少なくガソリン価格が高めに設定されているのも特徴です。
光熱費にも注意が必要です。都市ガスが整備されていない地域ではプロパンガスを利用することになり、都市部に比べて1.5倍のコストがかかります。
一人暮らしでも月4,000円前後が必要となり、家族世帯ではさらに高額になりやすいです。冬場の寒さが厳しいエリアでは暖房費も増え、古民家では隙間風の影響で電気代がかさむ傾向も見られます。
食費や日用品は地域差が大きい
食費に関しては、工夫次第で節約が可能です。家庭菜園を取り入れた事例では、食費を20%削減できたケースが確認されています。直売所や朝市を利用すれば、新鮮な野菜を都会よりも安く購入できることも多く、近所からのおすそわけがある点も魅力といえるでしょう。
ただし、スーパーやドラッグストアが少ない地域では車での買い出しが必要となり、その分ガソリン代がかさみます。
さらに、都市部のような競争が少ないため商品価格が高めに設定される傾向もあります。日用品や家電製品についても同様で、地方では都市部ほど価格が下がりにくいのが現実です。
まとめ
このように田舎暮らしは、家賃や住宅費の削減には大きな効果がありますが、交通費や光熱費の増加といった出費が加わる可能性もあります。
食費や日用品に関しても地域差が大きく、一概に安くなるとは言い切れません。
移住を検討する際は、自分のライフスタイルに照らし合わせ、収入と支出のバランスをシミュレーションすることが重要です。